中国恒大集団が世界経済に及ぼす影響は?

「中国の恒大集団のデフォルトでリーマンショックのようなこと起こらないの?」

 

日本のメディアでも数週間前から大きく取り上げられ、

お客様の中でも心配に思われて、このような質問が増えています。

 

恒大集団については、日本のメディアが本格的に取り上げる前から、

中国の不動産バブル崩壊リスクに関連して、

非常にリスクがあると業界内では言われていました。

 

中国は、自国にとってネガティブな情報は外に出ないように

徹底的にコントロールしています。

実は国防費よりも国内の治安維持費にお金を掛けているのです。

100以上の民族を取りまとめるために、尋常ではないコストを掛けています。

 

そのような中でも、今回の恒大集団の問題は日本だけでなく、

世界中のメディアで大きく報道されています。

さすがに抑えきれないようですね。

 

日本のメディアでも、投資家が本社に詰めかけて、

金融商品の償還や債権の返済を求めている姿が連日報道されていました。

中国恒大集団ってどんな会社?

同社のメイン事業は不動産事業(中国第2位)であり、

資産規模は日本の不動産大手3社(三菱、三井、住友)の合計の約2倍とも言われています。

創業者の許家印氏の資産もフォーブスによると、2019年3月時点で362億ドル、世界22位、中国3位の大富豪となっています。

 

同社は不動産以外にも、個人投資家向けの高利回り商品、

いわゆる理財商品を大量に販売してきました。

 

最大で年率13%の高金利の理財商品を販売して、

販売した資金を運転資金に回していたとされています。

 

Bloombergによると、中国国内で約7万人超の人が

これらの商品を購入しているとのことです。

これだけでも被害規模が相当になっていることがわかります。

 

さらに問題になっているのが、同社の従業員の多くが

これらの商品を購入していることがわかっています。

これだけの利率が謳われていて、本当に支払がされるのであれば、

従業員も魅力を感じて投資をしてしまいますよね。

 

恒大集団はフォーブス500社にも選ばれている、

いわゆる優良企業とされていました。

(2021年ランキング:第227位)

 

そんな恒大集団の問題点を挙げると、

 

・日本円で約33兆円の債務(従業員の給与の未払いなどの隠れ債務を合わせるともっと大きくなると言われています)

・740億ドルの社債が2022年中に償還期限

・75%程度の債務削減(債権者に求める)

・150万ユニット未完成物件(建築中)

・株価85%下落

・新築物件価格25%オフ

 

これらを見るだけでも「いよいよヤバいのでは?」と感じると思います。

さらに、同社は少し前に破産処理専門の弁護士を雇っていることも報道されています。

中国恒大集団が世界経済に及ぼす影響は?

現在の大きな論点は、

「中国政府当局が何らかの支援をするか?」

この部分です。

 

これについてはまだ不確定です。

しかしながら、中国のGDPに占める不動産関連の割合は大きすぎ、

不動産市場の暴落が中国共産党に及ぼす甚大な影響を考えると、

軟着陸するような支援をするのではないかと考えています。

 

中国政府は日本のバブル崩壊について、専門家を雇い徹底して研究し、

同じ轍は踏まないと決意を固くしています。

 

この問題は恒大だけでなく、

他の不動産デベロッパーにも大きく影響を及ぼします。

中国の不動産バブル崩壊となると中国発の世界経済危機につながる可能性もゼロではありません。

中国政府当局は非常に難しい舵取りを迫られています。

 

「私はそんな企業に投資していないし関係ない!」

このように思われる方もいますが、

私たちの年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は

恒大とグループ企業に約96億円投資をしています。

ただし、GPIFの運用規模は2020年12月末時点で177兆7,030億円とされており、

たとえ恒大がデフォルトをすることになっても、

影響は大きくないと考えます。

中国経済の未来を考える上で今後押さえておきたいキーワード

中国経済の未来を考える上で今後押さえておきたいキーワードがあります。

それは「共同富裕」です。

 

「共同富裕」とは、「貧富の差をなくして全ての人が豊かになること」です。習近平氏が掲げているスローガンで、貧富の格差縮小を目指す施策を既に相次いで打ち出しています。

 

習氏が共同富裕を打ち出している目的は、

国民受けの良い政策で求心力を高め、

長期政権の基盤を強化するためとされています。

 

このような状況下で、習氏が恒大に対してどのような施策を打っていくかは

今後しっかりと注視していくべきでしょう。

金融資産アドバイザーに相談