節税が大好きな社長がいます。
節税が大好きな税理士がいます。
節税が大好きな保険営業マンがいます。
決算期末になって利益が出ていると、
「●●先生、節税で何かいいのないの?」と
税理士先生に連絡があり、
「▲▲さん、節税保険でいいもの設計しといてよ」
保険営業マンに依頼がくる。
そして、支払った保険料の全額が経費になり、
節税ができて喜ばれる。
こんな時代が終わりました。
さらに言うと、多くの社長は保険で節税ができると思っているけれど、
正確に言うと、“節税”ではなくて
“税の繰り延べ”でしかないのです。
保険金や解約返戻金を受け取った時には、
収益計上ですからね。
この出口部分について営業の担当者がしっかりと説明できていなくて、
社長も理解できておらずに、トラブルになっているケースがあります。
少し話が脱線しましたが、
保険に限らずいわゆる“節税”というものが今後ますます禁じられていきます。
2021年5月1日・8日号の週刊ダイヤモンドの巻頭特集は
「税務署が狙う!富裕層の最強の節税」です。
ご承知のようにコロナにおける経済、景気対策で
国はバンバンお金を使っています。
この使われたお金は誰かが返さなくてはなりませんが、
誰が返すのでしょうか?
そうです。
まぎれもなく私たちの税金となって返ってきますよね。
国はあらゆる方法で節税を禁じてくることが予想されます。
コロナで税務調査も思うようにできていないため、
2021年秋からは税務調査の嵐が到来するとも記事の中には書かれていました。
このような流れの中で、
経営者の方がお金を会社や個人にしっかりと残していくためには、
“節税”ではなく、“資産運用”に意識をシフトしていくことが
重要だと考えます。
国の方向性に抗うのではなく、
時代の流れに乗ることが重要です。
節税はやりづらくなっていきますが、
資産運用については、国は「貯蓄から投資へ」のキーワードをベースに
NISA、iDecoをはじめとした税優遇制度を整えています。
資産運用を考えなければいけない理由は大きく2つあります。
①金利が低く、銀行預金に預けているだけだと資産が増えない
②インフレリスク
順番に見ていきましょう。
これは言わずもがな、皆さん実感されていることですよね。
今、私の手元に郵便貯金の平成3年7月29日現在の利率のご案内資料があります。
今から30年前ですね。
どれくらいの利率があったと思いますか?
定額貯金の利率は預入期間1年で、4.75%
3年だと6%です。
今ではとても考えられない利率ですね。
6%だと預けておくだけで12年で社長の資産は2倍に増えることになります。
この時代は貯金をすることが正解でしたよね。
でも今は貯金をしていても利息はほぼゼロ。
そして、既にヨーロッパなど海外では、マイナス金利の影響で
銀行に預けておくと逆に利子を取られることが始まっています。
日本でもいずれこのようなことになるかもしれませんね。
今後考えなければいけないのがインフレです。
インフレとはモノの値段が上がることです。
「え、日本は長らくデフレだったのでしょ?」と
言われる方もいますよね。
テータを見てみましょう。
東京都区部における小売物価の推移です。
例えばコーヒー。
S60年 280円→H30年 425円。
約1.5倍のインフレです。
カレーライスはどうでしょうか。
S60年 489円→H30年 745円。
約1.5倍のインフレです。
続いて出産費用。
S60年 153,780円→H30年 422,410円。
約2.7倍のインフレです。
次に大学授業料(私大)
S60年 368,900円→H30年 736,943円。
約2倍のインフレです。
データを見ると、日本はデフレと言われていても、
着実にモノの価格は上昇していっていることがわかります。
インフレになるということは、
購買力が下がるということ。
もう少しシンプルに言うと、
モノの価値>お金の価値。
このようになることです。
さて、今後はインフレが継続していくのでしょうか?
答えは誰にもわかりません。
ただ、これだけお金をジャブジャブ刷っていて、
行き場のないお金がマーケットに流れていっている。
株、不動産、金、商品、暗号通貨などあらゆる資産価格が上昇しています。
この状況を一言で言うと、
「貨幣からの逃避」と捉えることもできるのではないでしょうか。
つまり、今後もモノの価格は上がっていくインフレ方向になると予測ができます。
もちろん予測です。
私たちにできることは予測の精度を上げて、
リスクをコントロールしていくこと。
このままインフレが進むと、社長の現預金はどんどん価値が
目減りしていってしまいます。
事業で稼いだお金をしっかりと残すことができるように
資産運用についてもぜひ考えてみてください。