「今から米国株投資は遅いですか?」
先日ある経営者の方から質問されました。
世界全体で金融緩和となっており、
いわゆる過剰流動性相場といわれる相場展開のなか、
一時的な調整はあれど、上昇トレンドが続いています。
ズバリあなたは今から米国株投資はアリですか?
それとも今からはもう遅いと思いますか?
もちろん唯一の正解はありません。
私の投資のスタンスは、
基本的に将来の成長ストーリーが描けるものに対して、
中長期投資をしていくことをオススメしています。
この観点から考えると、
米国株投資は今からでもまったく遅くないと考えています。
ただし、一括投資ではなく、
投資タイミングの分散、投資資産の分散といった
分散投資を心がけてください。
それでは、
なぜ今後も米国株が成長していくと考えているのか?
米国株が中長期的に強くなると考える3つの理由を順番にお伝えします。
まずはじめに米国の経済の強さがあげられます。
基本的に株価はその国の経済の強さと連動します。
それでは経済力の源泉はどこからくると思いますか?
経済は人が動かしていますので、経済力の源泉は“人”です。
つまり、人口の推移を見ていくことで、
その国の経済の今後をある程度予測することができます。
ちなみに、世界の歴史を振り返ると、
人口が減少していく国で衰退しなかった国を見つける方が難しいです。
歴史から学ぶことも重要です。
世界的に著名な投資家のジム・ロジャーズは
投資を成功させるために歴史から学ぶことの重要性を説いています。
やはり時代は変わろうと、人間の本質は変わらないからだと思います。
現在の米国の人口は約3億3,000万人。
そして2050年の人口予測(国際連合)は約3億8,000万人に増加するとされています。
同時期の日本の予測値の約3.7倍です。
さらに経済力に大きな影響を与える生産年齢人口(15〜64歳)も
2050年時点でも2億3,176万人(61.1%)と
少子高齢化が進む日本と対照的になっています。
主要先進国の多くが今後人口減少が進行すると予測されている中、
米国は人口が伸び続けることから、経済成長も継続すると予想ができます。
ちなみに人口予測については、
突発的な予測不可能な出来事
(急に地球に隕石が落ちてきて、地球滅亡のような)でもない限り、
大きく予測が外れないと言われています。
これが米国株が中長期的に強くなると考える最初の理由です。
2つ目の理由は米国企業の稼ぐ力の強さです。
1989年12月〜2020年7月28日までの
日米のベストパフォーマンス・トップ10銘柄を見ると、
日本のトップ銘柄はキーエンスの3,925%です。
これでも約31年で40倍ですから素晴らしい伸びですよね。
これに対して、米国のトップは
金融機関向けのシステム開発会社のジャック・ヘンリー&アソシエーツの301,874%!
とんでもない上昇率です。
この31年間で3,000倍以上に膨らんだことがわかります。
もし100万円を投資していたら、
31年間で30億円以上になります。
このような企業は少し例外だったとしても、
S&P500全体が1,635%と米国株全体が大きく伸びていることがわかります。
これだけ米国企業が稼ぐ力があることが、株価にも反映していると言えるでしょう。
日米企業の稼ぐ力の差はどこからくると思いますか?
もちろん唯一の正解はありません。
私が考える答えのひとつは、
日米企業の生産性の違いです。
生産性は企業カルチャーが大きく影響すると考えます。
日本では「働かないおじさん」と呼ばれる問題が起こっているようですが、
日本の大企業ではよっぽどのことがない限り、
その人のパフォーマンスが悪くても、
解雇されることはありません。
(昨今は少し事情が変わってきているのかもしれませんが)
一方で、米国の一流企業は、
人材間の競争が激しく、切磋琢磨しあえる環境があるとも言えます。
どちらが良い悪いの話ではないですが、
これらの企業カルチャーも企業の生産性ひいては
稼ぐ力に影響していると考えられます。
そして、「企業は人」と言われるように、
企業が高い競争力を維持していくためには
優秀な人材の確保がマストです。
これを成長している企業ほど
経営の最優先事項としています。
米国内だけではなく、世界中から優秀な人材を集めて、
米国企業に貢献するエコシステムが出来上がっています。
引き続き世界でもトップクラスの教育機関が多く、
卒業後の受け皿として
シリコンバレー、シリコンアレー(ニューヨークマンハッタンを中心とするハイテク産業の集積地)の
イノベーティブな企業を選ぶ優秀な人が多いのです。
米国株が中長期的に強くなると考える最後の理由です。
米国では、会社のトップのCEOをはじめ経営陣が
株価に強くコミットしています。
米国企業のCEOは、報酬の決定のされ方が会社の株価のパフォーマンスにリンクしていることが多いです。
「自社の株式を持っていない経営者=自分の経営手腕に自信がない」と市場からは解釈されてしまうのです。
最近はSDGsの流れもあり、やや変わってきていますが、
米国では「企業は株主のもの」という認識が非常に強いです。
日米発行済み株式のインサイダー(経営陣)保有率を見ると、
日本の0.53%と比べて、米国は1.85%と3倍以上の開きがあることがわかります。
注:日本は日経225、米国はS&P500
出所:Bloomberg
経営陣が株価に強くコミットしていることがわかる事例として、
JPモルガン・チェース&カンパニーCEOのジェイミー・ダイモン氏を
取り上げてみましょう。
2016年2月11日、米国株式市場が大きく下げた日に、
彼は個人資産でJPモルガン株を50万株取得(2,660万ドル)しています。
さて、この事実を他のJPモルガンの株主が知ったら、どう思うでしょうか?
経営者の口だけではない、行動を伴った
本気のコミットを感じるのではないでしょうか。
このケースのように、
米国企業の経営陣は株価に強くコミットしています。
そして、自身の報酬にもリンクしているため、
利害が一致しているのです。
以上、今後も米国株が強くなると考える理由を3つ見てきました。
これ以外にもさまざまな理由があるのですが、
メインとなる理由をお話ししました。
しかし、くれぐれも投資に絶対はないことをご注意ください。
自分でしっかりと調べる姿勢を忘れずに、
ご自身のライフプラン、マネープランを作成してみてくださいね。